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8役を演じ分ける日本人バトントワラー

影山雄成のバックステージ・ファイル
エンプレス役
Photo:Koki Sato

巨大なヘッドピースを頭にかぶり、さらには王族という身分の高い女性を象徴する厚底の花盆底靴(かぼんそこぐつ)を履いて演技をする役となる。身長が2.3メートルに達し、バランスの取りにくい衣装で、微振動するステージに立っての演技は慣れるのに時間を要したのだとか。

衣装の花盆底靴
Photo:Koki Sato

また、この役を演じる日は決まって複数の役を掛け持ちする。エンプレスが劇中の前半に絶命するためだが、連日2回公演のため、メイクの工程も複雑だ。
まずはウォータープルーフのメイクを施しエンプレス役を演じる。
上演中に出番が終わるとスプレーで水生メイクを吹きつけて別の役への早変わりを何度も繰り返す。そして1回目の公演が終わると、水性メイクにより重なった層のみを水で洗い落とし、下地にタッチアップをして再びエンプレスとして2回目の舞台に立つ。

Photo:Koki Sato

2年の間に7役とレパートリーを次々と増やしてきたが、どの役を演じる場合でもステージに立つ際には必ず全神経を集中させる。
シルク・ドゥ・ソレイユはその日に出演するキャストを発表しない。
お客さまからすればその日に観たのが唯一のキャストになるので、アンダースタディーだからといった言い訳は一切通用しないのです」と表情を引き締めた。
こうしてステージに挑んできた彼女だが、今でも機会があればバトンを披露し、振り付けをするなどして時々は原点に立ち返る。
2016年には台湾政府が後援する催しで、5000人超の観客を前にバトンのソロを披露した。

台湾でのソロ

2018年の1月、高見亜梨彩によってロングラン13年目を迎える『KA』に新風が吹きこまれた。

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書いた人:影山雄成(KAGEYAMA,YUSEI)

影山雄成(KAGEYAMA,YUSEI)

演劇ジャーナリスト。 延岡市出身、ニューヨーク在住。 ニューヨークの劇場街ブロードウェイを中心に演劇ジャーナリストとして活躍。アメリカの演劇作品を対象にした「ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員。夕刊デイリー新聞で「影山雄成のバックステージ・ファイル」を連載中。

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延岡バックステージ
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