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【①】活版印刷を説明するカードを活版印刷で作る

レポート活版印刷

2021年に延岡市内の上原さんから活版印刷の道具一式を譲り受け、早2年。
活版印刷ってなんですか」「活版印刷の特徴、良さはなんですか」と質問されたとき、私の説明力が足りずいまいち伝わっていない気がしていました。

今回はしっかり言語化するため、活版印刷を説明するカードを活版印刷で作ります

師匠の上原さんは、昔印刷したものと版がここにあるから見て考えて覚えなさいという教え方だったので、まだまだ四苦八苦しながら作っていく過程を2023年6月バージョンとして書いていこうと思います。

準備する物

原稿

両面印刷にして、オモテ面に『活版印刷の説明』ウラ面に『活版印刷の私の思う特徴、良さ』について書くことにしました。

原稿を作るのが工程の中で一番労力を使い時間を使います。
活版印刷は印刷方法の一つであるというだけで、何を印刷するのか中身が重要だなというのが最近ようやくまとまってきた私の考えです。

ウラの文を考えるのに3日ほどかかりました。
オモテは、以前作った文章をそのまま流用。

ウラの文を苦しみながら考えているところ。結局この後、全部書き直した

活字

右下は鋭利なピンセット。これも上原さんから頂いた

今回は、18p(ポイント)と5号と新号数制の6号(以下、新6号)を使うことにしました。
上原さんは号数制の活字とポイント制活字(6p、9p、18p)混ぜて使っていたようなので私も混ぜて使っています。
基準サイズの活字5号はポイントで言うと10.5pです。

私が持っている活字でサイズを並べると
6p<新6号<9p<5号<新4号<新3号<18p
たぶん合ってるはず。

名刺の場合は、長辺に入る5号は24文字
理由を上原さんに聞いたのですが、「本に書いてあった」と言われたのでおそらくきれいに名刺サイズに入る文字数が5号で24文字なのだろうと思います。たぶん。
後で出てくる、5号の4倍のコミが6つでキリが良いからなのかはよく分かりません。

つまり
10.5p(5号)×24文字=252
18p×14文字=252

ぴったり合うので名刺を作る際には号数制活字と18p、そして18pの半分の9pを混ぜてもうまいこと版が組める、ということだと思います。たぶん、そう。

溝があるので、これを触りながら文字の上下を判断します。
「あんた、手で確認しなさいよ」と言われたのをちゃんと理解したのは、印刷してみたら文字がひっくり返っていた時でした。

コミ、スペース

私は上原さんから『コミ』と教わったのでそのままコミと呼んでいます。『込め物』という意味らしいです。関東と関西では呼び方が違うのか、印刷所によって違うのか『スペース』だったり『クワタ』だったり。どれも活字等以外の印刷しない部分を埋めていくものです。

写真左は、5号サイズ。右は新6号サイズ。
サイズは以下の順。
5号
4分<3分<2分<全角(5号)<2倍<3倍<4倍
新6号
4分<3分<2分<全角(新6号)<2倍<3倍

全角から上のサイズは分かりやすいと思います。
5号の2倍は、5号の文字を2つ並べた分のサイズ。3つ分が3倍、4つが4倍。
2分(にぶ)は全角の半分、つまり半角。3分(さんぶ)は、活字を3等分にしたとき1枚分の厚さで、4分(しぶ)は4分の1。

実は先日まで4分を「よんぶ」と呼んでいたら、本当は「しぶ」らしいです。そういえば四分音符は「しぶおんぷ」ですね。

本当は9pのコミも必要ですが、写真を撮った時は気づいていません。

インテル

木製なので木インテル(もくいんてる)と呼ぶらしいです。金属でできたものもあります。行間等に入れるもの。
私の手持ちの物は厚みが、5号、5号の半分、5号の4分の1。しっかり確認していませんが、大体この厚みが主だと思います。おそらく。

需要低下やその他諸々の理由で、木インテルは今や手に入りにくいものになったようです。

版組むとき使うやつ

『置きゲラ』?『組みゲラ』?『手もちゲラ』?呼ばれ方は様々みたいです。
この上で版を組んでいきます。

上原さんは「ゲラ」って呼んでいたかどうか思い出せないんですよね。言ってたかなあ…。しょっちゅう言っていたなら覚えているはずなんですが覚えていません。

思い返してみれば、上原さんとの会話は「これなんですか」「これは、○○する時に使うやつ」「なるほど」の繰り返しだったので、何に使う道具かは知っていても名称は分からないものが多いです。

斜めに置いてあるけれど、分かりにくい

活字が倒れないように斜めに傾けて置きます。
活字が倒れなければいいという上原さんの方針の下、私もなんか傾斜がつけばいいかと箱の上に乗せています。

道具の紹介してたら終わった

組むところまで書こうと思っていたら、長くなってしまったのでここで第一回は終わります。
まだ全然組んでない…。

道具の大きさはそれぞれ決まっているので、活版印刷自体はそれほど複雑ではありません。
決まったサイズの中で、例えばどのくらい行間を空けるのか、行替えをどこでするのか。そのセンスが腕の見せ所だと上原さんは言っていたので、そうなんだろうなと今になってようやく分かってきた気がします。

(つづく)

次→【②】

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書いた人:坂本真理

坂本真理

宮崎県延岡市生まれ。宮崎県立延岡西高等学校卒業後、京都市立芸術大学美術学部工芸科で染織を専攻し中退。2014年に帰郷。延岡市を中心に地域を深く考えたデザインを行う。延岡バックステージ、代表。

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