
幻想的なさすらいの旅路を観客とともにする案内役は、夢の中ではハワイ神話のヒーロー的存在でもある半神半人のマウイの役割も担う。
神話で示されたように、ハワイでは島々がこのマウイによって釣り上げられたと語り継がれてきた。そして祖先はその昔、天体(星)や海流、風向の観測などのみによる航海方法で遥々この島に移動してきたというのが考古学で定説となり、およそ50年前に実証もされている。
舞台のオープニングを飾る第1章は、空中を可憐に舞うロシアン・スウィングのアクロバットで表現する、南太平洋の航路での植民説。古代ポリネシア諸島の大航海はディズニー映画『モアナと伝説の海』でも取り上げられており、島民にとって船/カヌーはかけがえのないもの。

同作品で衣装デザインを手掛けたのは、日本にも多くの生徒を持つフラの師匠ナニ・リム・ヤップを母にもつマナオラ・ヤップとなり、島の文化に造詣が深い彼も船に拘りを窺わせた。「船は島であり、島は船である」という意のハワイの人々が大切にしてきたことわざを示唆するデザインの柄を舞台美術に大々的に反映させたのだ。
ハワイ諸島の誕生と島民の起源に迫る圧巻のオープニングで観客を一気に別世界へと惹きつけていく。

続く第2章では、1920年代から1940年代にかけてワイキキを中心としハワイが一大観光地として栄えていった黄金期に遡る。
南国の楽園としての知名度を高めた当時の人気ラジオ番組を偲びつつ、ペアのパフォーマーのひとりが足を使って相手の体を宙に舞わせるイカリアン・ゲームの高度な技をもって、現代の観光地としての礎が築きあげられた歩みを振り返るという流れ。


舞台は再び神話の世界へと移り、案内役が扮するマウイが太陽を捕まえて説得し、日照時間が極端に短かったことを解決するために奮闘したエピソードがコミカルに描写される。マウイが英雄として崇拝されるきっかけともなったこの活躍は、母親となる女神ヒナのためだったから。

第3章の主人公となる女神ヒナは伝統的な布カパを作る名人だったとされ、その原料となる木の樹皮を乾かすのに日光が不可欠だった。そんな彼女が家族に不満を抱き逃げるように昇天、月の女神になり人々に安息の時をもたらし、夜間の航海の道しるべになったという伝説は、優美な空中での演技と、月光に照らされる大海原を表現した団体での緩やかなフラで描写されていく。
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『アウアナ』4章~8章
恵まれた自然を尊び、祖先への謝意、島と人々の繁栄に願いを込めるフィナーレ
