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17.ハワイのエンターテインメント革命 神話や文化を重んじる楽園のサーカス

影山雄成のバックステージ・ファイル

シルク・ドゥ・ソレイユがハワイに進出する話が持ち上がったのは、新型コロナウイルスによるパンデミック前。
紆余曲折を経て、地元のホテルとタッグを組み、作品名が『アウアナ』に決まり、多くのハワイ出身のアーティストや出演者が携わった上での制作が急ピッチで進行していく。

Photo:Courtesy of Cirque du Soleil ‘Auana

上演会場として白羽の矢が立ったのは、ワイキキの目抜き通りに面したホテルの中にある劇場。パンデミックの影響もあり閉幕を余儀なくされた作品が上演されていたこの場所を大改装し、客席数784の専用劇場へと蘇らせたのだ。

『アウアナ』の舞台裏エピソード1(4まで配信中)/Youtube

2024年12月に幕を開けた演目は、ハワイの文化や伝承、そして島の人々に細心の注意を払って敬意を表しつつ、それと同時に卓越したエンターテインメント性を追求する新感覚のサーカス。
タイトルの『アウアナ』はハワイ語で、“ただよう”や“さまよう”といった意味合いを持ち、現代フラの総称としても使われる普遍性のある言葉となる。文字を持たないハワイの人々は伝承や神話などを言葉と、オリやチャントと呼ばれる詠唱、そして手話のような役割も担うフラで語り継いできた。

All Photos:Courtesy of Cirque du Soleil ‘Auana

同作品は、ハワイが“虹の州”と呼ばれることを受け、天空に架かる7色とそれらが交わることで生まれる白を加え、8章で構成されている。
それぞれの章で島々にまつわる物語が、シルク・ドゥ・ソレイユ特有の人間離れしたパフォーマーたちのアクロバットなどで伝えられていくという趣向。それと同時に、ダンサーの舞が各場面を彩り、ミュージシャンたちが演奏と歌唱を担当していく。

『アウアナ』音楽の舞台裏/Youtube

開演前には穏やかな音楽を背景に、水の音や虫の声、そして鳥のさえずりなどの自然音が観客の耳を和ます。ステージの緞帳には、海面の上に月が輝き、椰子の葉陰などの景色がセピア色に投影され目に安らぎを与える。
開演時間が近づくと、客席へとセリ出した半楕円形のステージの手前に腰かけたひとりのミュージシャンが、スラックキーギターや鼻笛を奏でていく。
過去の同サーカス団の演目に比べると、詩的情緒にあふれる前座が観客に癒しを提供する。

Photo:Courtesy of Cirque du Soleil ‘Auana

開演前のアナウンスも島の文化を尊重、まずは母音と子音のバランスが整った響きが美しいハワイ語で行われる。
そして、久々に故郷ハワイに戻ってきた遊び心が旺盛な案内役が劇場に迷い込み、彼が夢の世界へと誘われると8章から成る物語が紡がれる80分間の至福のひとときが始まるのだ。

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『アウアナ』1章~3章
ハワイ諸島の誕生と島民の起源に迫る圧巻のオープニングで、観客を一気に別世界へ

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書いた人:影山雄成(KAGEYAMA,YUSEI)

影山雄成(KAGEYAMA,YUSEI)

演劇ジャーナリスト。 延岡市出身、ニューヨーク在住。 ニューヨークの劇場街ブロードウェイを中心に演劇ジャーナリストとして活躍。アメリカの演劇作品を対象にした「ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員。夕刊デイリー新聞で「影山雄成のバックステージ・ファイル」を連載中。

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延岡バックステージ
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