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【④】活版印刷を説明するカードを活版印刷で作る

レポート活版印刷

~前回まで~

【①】 【②】 【③】

作り方の流れはオモテ面と全く変わらないので、今回は全体のまとめになりそうです。

カード完成

一旦文章を完成させて活字を拾ったものの、組んだ後に6回ほど文章を作り直しました。3週間掛かりました。やはり、版を作るよりも、なにを作るか、なにを印刷するかが重要だなと改めて感じました。

自分が感じている活版印刷の良さの言語化に時間を掛けた、また掛けられたことで、より活版印刷が好きになりました。

ようやく完成した版

工程は本当に全く一緒なので、割愛します。

オモテ面を乾かしているときと変わらない風景

できました!!!!

ウラ面

完成したカード(両面印刷)

ウラ面(写真左)の説明で言いたかったことは3つです。
活版印刷は、様々な道具を使うこと
印刷されない余白も、道具で作られていること
活字だけが活版印刷の注目ポイントではないこと

活版印刷のアピールポイントを探して

へこみ

よく活版印刷のアピールポイントとして紹介されるのは、金属の活字を押しつけて印刷する過程で生まれる印刷部の紙のへこみ、凹凸ではないでしょうか。
私も始める前は、そんなイメージを持っていました。手作業の良さ、というか手作り感というか。あたたかみというか。

でも!

そんな言うほど、へこまないんだ!実は!

正しく言うなら「活版印刷は、紙をへこませることもできる」です。あくまでも技術の一つであって、活版印刷の全てで文字がへこんでいるわけではありません。
上原さんも違うって言ってた!

圧の掛け方、紙の種類が関係して、凹凸のある印刷ができます。

へこみを出さないようになってから、挑戦できる技なのかなと思います。

自動フート機では、圧調節を間違えると活字を物理的にぺったんこに潰してしまいます(文字部分がぺったんこになります)何本も潰してきたので、今はかなり慎重に調節するようになりました。

あえてへこませるならば、手動で圧を掛ける手フートの方が向いているのかもしれません。
また紙の種類によるものみたいです。
和紙は、表面がふわっとしているので自然とへこみが出ました。しかし、わかりやすく文字部分が沈んでいる…! というものではなく、なんとなくへこんでいる?かなあ~という感じです。

活版印刷用という紙もあるみたいで、表面がかなりふわっとしているみたいです。特殊な紙ですね。

かすれ、ムラ

かすれ、ムラもまた手作業の味のひとつなのかなと、最初は私も思っていました。

そうじゃなかったんですよね。

写真の「な」を見てもらえればわかりますが、「な」の丸部分が黒く塗りつぶされてしまっています。
この場合は、物理的に活字が潰れてこう印刷されているわけではなく、圧が掛かりすぎて丸がつぶれて印刷されてしまいました。

これは味というよりもただ下手なだけです。
そう、かすれもムラも回を重ねれば最低限まで減らすことができます(できるはず)
がんばってがんばって減らして、それでも許容範囲で出てしまう微妙なかすれやムラこそが「味」なのだと思います。

余白

この「へこみ、かすれ、ムラ」は、活版印刷の本当のアピールポイントではないなと段々と気づいてきて、じゃあどこなんだと真剣に考えました。

まず、なによりも私が活版印刷を初めて目の前にしたときに驚いたのは、その物量でした。とにかく物が多い。
家庭で印刷するときはPCに「宮崎県延岡市」と入力し印刷機に出力すれば印刷できますが、活版印刷で作ろうとすると活字が6つ、印刷しない部分を埋めるコミ、インテル、枠、ジャッキ、ジャッキハンドル、印刷機、様々な道具が必要になります。この道具の多さがまず特色のひとつです。

そして片付けながら気づいたのですが、印刷のメインとなる「活字」以外の道具の方が多いということです。
特に、余白を作る道具が多いです。
5号のコミでいうと4倍、3倍、2倍、全角、2分(半角)、3分、4分。7種類あります。それぞれ100個以上あるのでこれだけでもものすごい物量。重さもあります。

また、どう余白を作るかは作り手に委ねられます。
どんな印刷方法でも同じですが、文字や写真を配置するときは全体のバランスを考えます。それには余白も含まれますが、デジタルでは私はあまり意識していませんでした。

しかし活版印刷では、余白を作るためにコミやインテルといった道具を入れて埋めていきます。デジタルでは感じられなかった工夫して余白を作る作業が私はすごく好きですし、実は重要だと考えています。

道具を使っているからこその制限も私の好きなところです。この文字を2ミリ左に動かしたいと思ってもできません。また、ほんのちょっとだけ文字を大きくしたり小さくしたりも、そのサイズの活字がなければできません。現在買うことのできない文字もあります。

あるものから選んで作る。制限があるから面白いと思います。

「活版印刷で活字を使っている」と聞いた場合は、行間や余白にも道具が詰まっているんだなと、ここにもこだわりがあるんだろうなと思って頂ければうれしいです。

まとめ

活版印刷を自由にする「樹脂板」についても、またいずれまとめられたらいいなと思っています。
→→2023/11/23【①】樹脂版の龍ができるまで~【活版印刷】 更新しました!

「活版印刷を説明するカード」で圧の調節のコツを掴んだようで、なぜか私の理想の圧がちょっとできるようになっていました。ふしぎ。
これからもがんばります。
活版印刷を使って作ったものは、Instagramに定期的に載せているのでご興味あればよろしくお願いいたします。

この「活版印刷を説明するカードを活版印刷で作る①~④」は、今年1月に亡くなった師匠の上原さんに向けた、私の中での経過報告でした。

最後まで読んでくださった方、お付き合いありがとうございました。

(おわり)

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書いた人:坂本真理

坂本真理

宮崎県延岡市生まれ。宮崎県立延岡西高等学校卒業後、京都市立芸術大学美術学部工芸科で染織を専攻し中退。2014年に帰郷。延岡市を中心に地域を深く考えたデザインを行う。延岡バックステージ、代表。

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